現地の海外ATMで現金を引き出す方法は、両替所を探したり、現金を持ち歩いたりする必要が無いので、海外旅行で便利な両替方法です。
しかし、それにはクレジットカードかデビットカードが必要で、どちらもメリット・デメリットがあります。
今回はそれを整理して自分にあった方を選べるように旅のプロがご説明していきます!
目次
海外ATMで現金を引き出すとは
まずは、そもそも海外ATMで現金を引き出すとはどういうことなのか簡単に説明します。
- クレジットカードかデビットカードを使って
- 海外のATMで日本にいる時のように
- 現地通貨を引き出すこと
何が便利なのか
- ・現金を持って行く必要がないので安心
- ・両替所を探す必要が無いのでラク
- ・レートが良くボッタくられる心配がない
私が思う便利な点は上の3つです。
【現金を持って行く必要がないので安心】
現地のATMで現金を引き出すので、もちろん日本から現金を持って行く必要はありません。
数万円を日本から持って行き、スリを気にして神経質にならなくて良いのです!
【両替所を探す必要が無いのでラク】
日本の空港で両替をするとレートが悪いので、現地で両替をする人も多いと思います。
その時にどの両替所のレートが良いかや、そもそも両替所はどこにあるのか。
といった手間が結構かかってしまいます。
両替所を探さなくても空港、ホテル、街中などATMでどこでもラクに引き出せます!
【レートが良くボッタくられる心配がない】
現地で両替をする時に、ボッタくられることがあります。
特に日本人はカモにされやすいので怖くて心配になる人も多いです。
両替所を利用しなくなるのでその心配もいりません!
また、レートも両替所を利用するより良いです!
注意すべきことは
かなり便利な海外ATMでの現金引き出しですが、
もちろん良いことだけではなく注意すべきこともあります。
- ・ATMでスキミングされる可能性がある
- ・カードを失くすと一文無し
- ・金利や手数料がかかる
上記の3点は事前に知っておく必要がある注意点です。
【ATMでスキミングされる可能性がある】
百聞は一見に如かずです。こちらの動画をご覧ください。
この動画は、オーストリアの首都ウィーン市街地で撮影されたもので、皆さんも利用しうる場所のATMです。
カード挿入口が緑色に光っている海外で一般的なタイプのATMです。
しかし、0:35秒を観るとわかるように、
巧妙なスキミング機械が取り付けられています。
スキミング機械はこのタイプだけではありませんが、
スキミングの可能性があることを知っておき、事前に注意するだけでも被害を防ぐことができます。
【カードを失くすと一文無し】
カードを失くすこと自体は、カードを止めて再発行すれば問題にはなりませんが、
現金を引き出す前に、カードを失くしてしまうと、一文無しで旅行をしなければなりません。
一番よくあるのが、ATMにカードが吸い込まれて返却されないパターンです。
海外のATMは日本ほどちゃんとメンテナンスされていないので、
何かのエラーでATMからカードが返却されないことがあります。
私の知り合いからも良く聞きます。
引き出しもできず吸い込まれたら最悪です。
銀行併設のATMで無い場合や営業時間外の場合は、
対応が翌日以降になる場合もあり、
英語で対応など色々と面倒なことになります。
複数のカードを持っておくことで一文無しになることは防げますが、
吸込みのリスクがあることも知っておく必要があります。
【金利や手数料がかかる】
なんで金利がかかるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
これはクレジットカードを利用して海外ATMで現金を引き出した場合に発生します。
※デビットカードの時は発生しません。
クレジットカードを利用した引き出しは、
海外キャッシングになります。
なので、普通のクレジットカード決済とは違い、
カードローンと同じ借金になってしまいます。
翌月一括返済するのであればそれほど気にする必要はありませんが、
クレジットカードを利用した引き出しの場合は、
キャッシングであるということを知っておくことは大切なことです。
金利は18%とかなので返済が遅れるとかなり割高になってしまいます。
また、手数料もかかります。
手数料は、
「現地ATMの利用手数料」「カード会社の手数料」
の2つかかる場合があります。
ATMやカード会社によっては特定の条件で無料のものもあります。
また、かかっても100~400円ほどですが、事前に調べておく方が安心です。
クレジットカードとデビットカードの違い
本題とは違いますが、ここまで読んで、
そもそもクレジットカードとデビットカードの違いが良く分からない方向けに簡単に説明します。
まずは、上の図をタップして一通り読んでみてください。
簡単にいうと、
クレジットカードは、事前審査で得た信用を基にしてクレジットカード会社が1ヶ月の利用分を立て替えてくれています。
デビットカードは、信用による立替ではなく、クレジットカード会社を通じて利用時に即あなたの銀行口座から引き落としされます。
ここでは、クレジットカードは信用による立て替え、
デビットカードは即引き落とし、
ということが分かっておけば問題ありません。
ざっくりとしたことが分かった所で、
次はクレジットカードとデビットカードのそれぞれ見ていきましょう!
クレジットカードで引き出す
ではまずクレジットカードを利用して海外ATMで現金を引き出す方法です。
- 【メリット】
- ・海外キャッシング上限まで引き出し可能
- ・デビットカードに比べて不正利用に強い
- ・自動付帯保険が付いてくる
- 【デメリット】
- ・キャッシング自体に抵抗がある
- ・手数料の他に金利がかかる
- ・メインカード1枚だと吸込みリスクが高い
それぞれ解説していきます!
メリット
- ・海外キャッシング上限まで引き出し可能
- ・デビットカードに比べて不正利用に強い
- ・自動付帯保険が付いてくる
【海外キャッシング上限まで引き出し可能】
キャッシングなので、日本の口座にお金が入ってなくても、
利用枠内であれば上限まで現金の引き出しが可能です。
それが良いか悪いかは皆さんの考え方によりますが、
病院や税関申請などで急に大金の現金が必要な場合であっても、
引き出しができることはメリットと言えるでしょう。
【デビットカードに比べて不正利用に強い】
デビットカードの場合、不正利用であってもすぐに口座から引き落とされます。
カード会社に報告して、不正利用と認めてもらうまではお金が返ってこないので、
心理的に不安になるだけでなく、大金だった場合に家計に影響を及ぼす場合があります。
しかしクレジットカードの場合には、実際に自分のお金が引き落とされるのは翌月なので、
通常それまでに不正利用の手続きが完了し、口座から引き落とされずに処理が終わるので、
被害を最小限に抑えることができます。
【自動付帯保険が付いてくる】
カードの海外旅行付帯保険には、
「利用付帯」と「自動付帯」があります。
「自動付帯」は、そのカードで支払いを行っていなくても保険の対象になるものです。
デビットカードで自動付帯が付いているものは少なく、
クレジットカードだと自動付帯のものが多いのであると安心です。
とはいえ、自動付帯であっても、
クレジットカードの付帯保険は、保険としては不十分です。
本題からずれるので一言だけ説明しておくと、
クレジットカードの付帯保険は、
病気やけが、スーツケース修理などは基本的に対象外です。
保険を気にされる方は、
任意の海外旅行保険に加入するか、
保険が手厚いクレジットカード(プラチナカードなど)を持っておきましょう。
デメリット
- ・キャッシング自体に抵抗がある
- ・手数料の他に金利がかかる
- ・メインカード1枚だと吸込みリスクが高い
【キャッシング自体に抵抗がある】
やはり、キャッシングなので心理的抵抗がある方が多いと思います。
そんなことは気にしない!という方は問題ないですが、
カードローンと同じ借金ということは知った上でご自身で判断してください。
【メインカード1枚だと吸込みリスクが高い】
メインのクレジットカードを利用して海外ATMで現金を引き出すと、
前述のように万が一ATMにカードを吸い込まれてしまうと、
一文無しで旅行することになるので注意してください。
必ず複数枚のカードを持つようにしましょう!
【手数料の他に金利がかかる】
キャッシングなので、返済までに金利がかかります。
例えば、1ドル100円の時に、金利(年利)18%の海外キャッシングをして、1000ドル引き出したとします。
この場合、1,000ドルは10万円なので、
金利は「10万円×18%÷365日」で1日あたり約49円です。
クレジットカードの締め日を過ぎたばかりで、支払い日まで50日あったとします。
すると、49円×50日で、約2450円の利息を払う必要があります。
高いと思うか安いと思うかは人によると思いますが、
金利がかかるということはちゃんと知っておきましょう。
デビットカードで引き出す
次は、デビットカードを利用して海外ATMで現金を引き出す方法です。
- 【メリット】
- ・キャッシングせず口座から出金ができる
- ・口座残高が上限なので使いすぎない
- ・審査が緩く15歳の子供さんでも作れる
- 【デメリット】
- ・クレジットカードに比べて不正利用に弱い
- ・ホテルやレンタカーでデポジットとして使えない
- ・手数料が割高
それぞれ解説していきます!
メリット
- ・キャッシングせず口座から出金ができる
- ・口座残高が上限なので使いすぎない
- ・15歳の子供さんでも作れる
【キャッシングせず口座から通常の出金ができる】
クレジットカードの場合とは違い、
デビットカードの場合はキャッシングになりません。
日本でATMから普段引き出しをしてるのと同じように
海外ATMから日本の口座の現金を引き出すことができます。
現地通貨から日本円に換算した金額と手数料がその場ですぐに口座から引き落とされます。
なのでキャッシングという借金ではないので、金利はかかりません。
クレジットカードとデビットカードの違いは前述のこちらをご覧ください。
【口座残高が上限なので使いすぎない】
デビットカードは口座に入金されているお金を直接引き出すことになるので、
口座残高が引き出しの上限になります。
海外旅行でショッピングをして楽しみたいところではありますが、
使う予定の予算だけ口座に入れて旅行をすれば、
ついつい沢山引き出したり、ショッピングで使いすぎるなんてこともなく安心です!
【審査が緩く15歳の子供さんでも作れる】
デビットカードは、クレジットカードと違い信用取引ではないので、
クレジットカードに比べて審査が緩く、
よっぽどのことが無い限り、審査に落ちることはありません。
なので、15歳から作られるカードもあり、高校生や大学生でも簡単に作ることができます。
お子さんが一人で海外に行く際などには、
日本の口座に入金をすれば、
現地でお子さんが現金を引き出すことができるので、
そういった使い方にも便利です!
デメリット
- ・クレジットカードに比べて不正利用に弱い
- ・ホテルやレンタカーでデポジットとして使えない
- ・手数料が割高な場合も
【クレジットカードに比べて不正利用に弱い】
クレジットカードのメリットとは逆で、
デビットカードの場合、不正利用であっても口座からすぐに引き落とされます。
カード会社に不正利用であったことを報告して、認めてもらうまではお金が返ってこないので、
心理的にも不安になるだけでなく、大金だった場合に家計に影響を及ぼす場合があります。
【ホテルやレンタカーでデポジットとして使えない】
海外のホテルでチェックインする時やレンタカーを借りる時にクレジットカードの提出を求められます。
海外では事前にデポジットとして一時金を預けて、何かあった時にそこから支払うのが一般的です。
何もなければそのお金は返ってきます。
そのデポジットは、
クレジットカードの仮決済か現金の一時的な支払い
で行います。
デビットカードの特性上、すぐに口座から引き落とされてしまうので、
デポジットとして仮決済することができません。
別途クレジットカードか現金を用意する必要があるので注意しましょう。
【手数料が割高な場合も】
デビットカードの場合、キャッシングではないので金利を払う必要はありません。
しかし、カード会社やカードの種類によっては数%の手数料払う必要があります。
その場合は、
「現地ATMの利用手数料」「カード会社の手数料」
の、2つの手数料を払う必要があります。
とはいえ、年利18%というキャッシンの金利よりは安く抑えられるので、
事前に手数料を調べて、無料か、できるだけ安い手数料のデビットカードを選びましょう。
結局どっちが良い?
色々説明してきましたが、ここまで読んで
「結局どっちが良いの?」
と、思われると思います。
こればっかりは何に重点を置くかで変わってしまうので、
難しい所です。
しかしそれでは答えにならないので、
私が考えるベストな使い方をご紹介します。
- 現金引き出しはデビットカード
- 最低限の予算だけ口座に入れる
- カード利用はクレジットカード
結論を行ってしまうと、
クレジットカードとうまく使い分けるのが良いです。
今回の本題である海外ATMの現金引き出しは、
デビットカードを使い、
口座には最低限の予算だけを入れておきます。
そして、カードを利用した買い物には
クレジットカードを使います。
これが私が考える最もリスク分散したベストな使い方です。
まず、クレジットカードを使ったキャッシングは借金なので、私は抵抗があります。
必要のないキャッシングは無駄ない金利を払うだけで、
今後の信用取引や審査にも影響を与えます。
なので、私は海外・国内ともに全てのカードのキャッシング利用枠は0円です。
その時点で海外ATMの現金引き出しは、デビットカードに決まります。
あとは、デビットカードのデメリットをいかにカバーするかです。
口座には必要最低限の予算だけ入れておくことで、
使い過ぎを防げるだけでなく、
スキミングや不正利用に合っても被害を最小限に防げます。
そしてあとは、ある程利用枠があり、付帯保険が充実してるクレジットカードを使います。
私の場合はアメリカンエキスプレスのプラチナカードです。
このご時世、カジノでも行かない限り大金の現金が必要になることほどんどないです。
カジノでさえクレジットカードでチップを買えます。
大概はそもそも現金など必要なくクレジットカードがあれば問題ありません。
お子さん用やご家族で1枚デビットカードがあるだけで十分便利なので、ご自身で良く検討してみてください。
私の記事が少しでも検討材料になれば嬉しいです。